社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.259


おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2023.6.14

夜見師
中村ふみ/著
角川ホラー文庫

主人公の五明輝(ごみょうあきら)は21歳。
五明家の男子は“20代前半で突然死ぬ”という呪いを抱えており、彼自身の余命は長くて3年。
父親も従兄弟も、嫁に行った娘が生んだ男の子も、例外なく亡くなっている。

たった一人の家族(妹)のために1円でも多く遺そうとする輝は、知人の紹介で、古い洋館に暮らす車いす姿の青年(多々良克比古)に家政婦として雇われることになった。

割のいいバイトなのは魅力的だが、屋敷にはいくつもの祟り神が封印されており、多々良はそれらを始末する“夜見師”だった…

夜見師の仕事までサポートすることになった輝の運命、そして多々良の本当の姿とは?!

祟り神となった人間が生きていた世界と、怨霊となってしまった原因を見終えた後に夜見師が断ち切るのだが、その中には父親の不倫相手によって殺された幼い子供など、不幸な死の末に怨霊となった者もいて、過ぎ去った出来事を変えることはできないと分かりつつも、心優しい輝が手を差し伸べようと必死になる姿は、ホラー本でありながら、かなり泣けました。

不自由な体で命を削って冷静に怨霊を始末する多々良と、自分の感情を抑えることができず多々良の足を引っ張ってしまう輝の関係性も気になり、正反対の二人が不器用ながらも互いを思いやっている姿も心地いいです。

この作品はシリーズ化されていて2巻あるので、短すぎず長すぎず、ちょうどいい長さで満足感も大きいと思います。

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