社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.266



おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2024.6.27


でぃすぺる
今村昌弘/著
文藝春秋

「屍人荘の殺人」で数々の賞を受賞・デビューされた今村昌弘さんのオカルト&ミステリ小説を紹介します。

とある田舎町に暮らす小学6年生のユースケは、学校の壁新聞を使って大好きなオカルトを紹介するために、クラスの掲示係に立候補します。
そこへ今まで学級委員長を務めてきた優等生のサツキも、なぜか掲示係に立候補してきました。
サツキの目的は、昨年の奥神祭り前日にグラウンドの真ん中で何者かに殺された従妹、マリ姉の死の真相を調べること。
マリ姉の遺品の中に、彼らが住む町の七不思議が書かれたファイルがあり、その中にはなぜか6つしか怪談話がないこと、怪談に興味がなかったはずのマリ姉が七不思議をわざわざ残していることに疑問を持ったサツキは、掲示係を通して七不思議の謎を解こうとします。
サツキとユースケ、推理力が高いミナの3人で、七不思議から死の真相を明かすことはできるのか…

超常現象を信じるユースケと、常に現実的なサツキの意見がぶつかり合う中で、2人の推理を冷静に判定するミナの、バランスの良い3人の関係性と、全く異なる個性。
夜の外出や遠出が不可能、中学受験を控えた娘に対する親の監視、真剣に話しても相手にしてくれない大人たち…といった、子供ならではの悩みや困難を抱えながらも、柔軟な発想や大人顔負けの推理力で、どんどん真相を明らかにしていく姿が逞しく、最後は彼らの成長を感じることができました。

子供たちに癒される反面、七(六)不思議の内容はなかなか気味が悪く、さらにミステリとしても本格的なので、それぞれの怪談に散りばめられた伏線が回収された時の面白さと意外性も大きかったです。

オカルトとミステリ、両方の要素がちょうど良いバランスで取り入れられているので、両ジャンルが好きな私としては読み終わるのが寂しくなるほど、お気に入りの一冊となりました。

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