社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.230
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2018.10.24 |
「血脈」 佐藤愛子/著 文春文庫 |
佐藤愛子さんの私小説「血脈」 「ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みーつけた」 「あかりをつけましょ ぼんぼりにー」 簡単な言葉ひとつひとつに、情緒と優しさが詰まった童話を数多く残した詩人のサトーハチローさんは、なんと愛子さんのお兄様なのです。 そして、愛子さんとハチローさんの父上は、大正時代の著名な小説家。まさに、血は争えないです。 この佐藤家の「血」は物凄く、父上の紅緑さんのやくざで破天荒な生き方、周囲の人間を一人残らず傷付け、我を通し、それでもものすごいカリスマ性を持ち人を引き付けてやみません。 4人の息子たちは全員、見事な不良な輩、生活力ゼロの人間に成長します。 唯一生活力を身に着け成功した長男のハチローですが、父をさらに上回った怪傑です。 父よりもっと周囲の人間を傷付け、我を通して、やはりカリスマ性がありました。 「ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みーつけた」 この人からどうしてこんなにやさしい言葉が生まれるのでしょう。 こういうのを天才というのでしょうね。 著者の愛子さんは、関係者のほとんどが亡くなった今だからこそ書けると、佐藤家の脈々としたこのものすごい「血」について分厚い本3冊に書き綴りました。 読むのにも一苦労する作品、書くのにどんな身骨を砕かれたことだろうと思います。 出版者のサイト |