社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.222

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2016.6.10


「働かないの れんげ荘物語」

群ようこ/著

幻冬舎
文字通り「働かないの」という小説です。

有名広告代理店でバリバリ働いていた女性キョウコは、45歳で突然の早期退職。

「働かないの」と決めて、ボロボロの安アパートを契約し、使うのは月10万円、それならばなんとか30年貯金で生きていける!と静かな生活に入るお話です。

ワンルームというよりは一間の座敷、そして共同のシャワーとトイレの生活です。冷房も暖房もろくに無く、家の中は暑さも寒さもほとんどキャンプ同然。

それでも、懸命に働いて戦ってきた過去の生活からは思いもかけない、自分だけの大切な空間が作り出され、焦りや不安と闘いながらも自分らしさを見つめて生きていきます。

隣室の熊谷さん、管理人のおじさん、時々助け船を出してくれる友人や姪っ子、人の温かさを感じつつ、それでも人に頼らない生き方、孤独との向き合い方を少しずつ身に着けていきます。

私には出来ないなあと思いながらも、凛としたキョウコの姿が少し羨ましい。本当にどん底まで疲れてしまったら、ああ休んでもいいんだな、休む生き方もきっと許されるのかもしれない、そう思わせてくれる作品です。

ちなみに本書は「れんげ荘」という作品の続編です。

「れんげ荘」というのがまさにそのおんぼろアパートの名前なのですが、「れんげ荘」に住むことになったいきさつ、繰り広げられる小さな事件がゆったりと描かれています。

心が疲れたとき、本書によって気持ちを解き放てるのではないでしょうか。

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