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おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2016.4.19


「移動祝祭日」

アーネスト・ヘミングウェイ/著

新潮文庫
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ。」(本書より)

私は19歳の時、初めての海外、しかも一人旅ででパリに行き、1ヶ月間をただぶらりと何をするでもなく過ごしたことがあります。その時のパリの空気、香り、目に入った色彩は、今でも私に染みつき、私自身を形成する基盤となっているように感じます。ヘミングウェイの言うとおり、あれから20年以上経つ今もパリは私についてきます。なぜなら、パリは移動祝祭日だから。

この本は、アメリカ人のヘミングウェイが窮屈なアメリカを脱出し、パリで過ごした日々のあれこれを、老後に思い出としてつづった書です。

1920年代のパリには、ヘミングウェイのようなアメリカ人、そしてヨーロッパ中の芸術家がパリに集まりました。フィッツジェラルド、ピカソ、モディリアニ、シャガール、マチス、ダリ、ユトリロ、ジャン・コクトー、・・・。なんと豪華メンバー揃いの時代だったことでしょう。

ヘミングウェイとスコット・フィッツジェラルドの密な交流について多くページが割かれています。この二人の取り合わせは、両者の風貌とか作風から見ると私にはちょっと意外な取り合わせでした。二人で行ったリヨンへの珍道中が面白いです。

とても好きなシーンは、お金のない貧乏暮しのヘミングウェイが妻と幸せにセーヌ河を散歩するところ。サンドウィッチとワインを楽しみに、お金がなくても、何がなくても二人がどんなに幸せかを語り合う、そう、それはそこがパリだから。この妻とはその後離婚してしまうのですけどね。

2015年のパリ同時多発テロ以降、パリに観光客が減ってしまったと聞きます。それでも必ず、パリは元気になりますね。なにしろ移動祝祭日なのですから。いつかまたパリに行きたいです。

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