社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.218

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2016.1.25


「嵐が丘」

エミリー・ブロンテ/著

光文社古典新訳文庫
情けないのですが、このところ小さい字が見えづらくて・・・光文社古典新訳文庫のシリーズは文字が大きめで、表紙がかわいく、そして訳が新しいのでとても読みやすかったです。古い作品というのは、原文は変わらないけれど、翻訳は新しい時代に沿ったものにしなければ作品がどんどん陳腐化してくる、という説をお聞きしつつ、なるほど、光文社の新訳はとても読みやすいと感じました。

さて、わたくし、最近今さらながら映画「ハリーポッターシリーズ」を制覇し、イギリスの自然に魅せられ圧倒されております。「嵐が丘」を語る上では、舞台となっているヨークシャーという地域が重要だと思います。イギリスのずーっと北の方にある土地です。風が強く、春や夏がほんの少ししかない場所、その上、隣のお宅に行くのに4マイルもかかり、吹雪くと隣家にたどり着く前に遭難してしまう・・・、すごいところです。

だから隣同士であるキャサリン一家とエドガー一家は、本当に数少ない同年代のご近所であり、ゆくゆく結婚相手にならざるを得ません。他に人がいないのだものね。キャサリン家に孤児としてもらわれたヒースクリフ、キャサリンの兄、エドガーの妹、5人が繰り広げる近親相姦的ともいえる関係、愛情と復讐と深い深い情念の物語でした。

でも、ただドロドロの愛憎劇の本ではありません。なぜなのでしょう。それが名作と言われるゆえんなのでしょうね。文章が美しく、幻想的で、ひとつひとつの言葉にとてつもない想像力を掻き立てられる作品でした。

特に下巻の最後、何とも表現のしようのない気持ちを感じました。安堵、悲壮、解放・・・?

原文で読むと更にすごい良さがわかるのだろうなと感じる一冊です。

出版者のサイト(上巻)(下巻)

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