社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.206
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2015.5.27 |
地獄変 芥川龍之介 新潮文庫 青空文庫 |
時は平安時代。良秀という名高い絵仏師がいた。 良秀は絵を描くことにかけては彼の右に出るものはいないと言われるほどであったが、猿に似た不気味な容姿、傲慢さ、日頃の立ち振る舞いから皆に馬鹿にされていた。 そんな良秀だったが、彼には似ずかわいらしい優しい一人娘がいた。 普段はケチで嫌な奴の良秀も娘のこととなるとメロメロ。 堀川の大殿の女御として屋敷へ上がったあとも自分の元に返してほしいと願うほどであった。 ある時、良秀はその堀川の大殿より「地獄変」という屏風絵を描くように命じられる。 「地獄変」とは、名前の通り地獄の様子を描く作品である。 良秀は「自分の目で見たものしか描けない」と堀川の大殿に伝える。 そして良秀が望む「地獄」が再現されることになるが――――― 終盤の展開の壮絶さは読んでいると心拍数が上がります。 芸術を大成させるための良秀の執念が怖くもあり悲しくもあり、でも妙に納得してしまうという、とても複雑な気持ちにさせられます。 高校時代に読んで以来の再読ですが、今回改めて残酷で美しい作品だと感じました。 話集『宇治拾遺物語』の「絵仏師良秀」をもとに芥川が独自にアレンジした作品とのこと。 青空文庫でも読めますが新字旧仮名づかいになるため、読みづらい場合は出版されているものを読むといいかもしれません。 青空文庫 地獄変 出版者のサイト |