社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.201

おすすめ人 この1冊 こんな本です
C
2015.3.23


終わりの感覚

ジュリアン・バーンズ/著
土屋政雄/訳

新潮クレストブックス
新潮クレストブックスという新潮社のシリーズがあります。
海外の作家の作品(とてもいろいろな国の作品)を出版している
シリーズで質の良い小説を読むことができます。

ブッカー賞を受賞した「終わりの感覚」という中編小説。
60代の男性がかつての恋人の母親(1度しかあったことがない)
から少額の遺産分与をされたことからかつての自分の言葉が
恋人や友人の人生を大きく狂わせていたことを初めて知る・・・
という話です。

たいへんなストーリーテラーで文中のさまざまなか所に伏線が
張られ、謎解き要素も含まれた小説です。

「現在と過去」「記憶とは?」「老いとは成長の先にある者
なのか?」をテーマにしています。

主人公が何度か言われるセリフ「あなたは昔から変わらないのね」
それが主題とするならば、ぞっとする恐ろしい小説でもあります。
私の些細な一言が人の人生を狂わせ、それを引退する年齢になって
から知らされたとしたら・・・
私などそんな過ちをたくさんしていそうですから、それは恐ろしく、
知りたくない、避けたいと思ってしまいますが・・・。


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