社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.148
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2013.7.3 |
ジーン・ワルツ 海堂尊 新潮社 |
医師である作者の立場から、不妊治療・代理母出産、産科医療現場の実情に切り込んだ作品です。 読前に菅野美穂さん主演の同名映画を見たのですが、海堂作品ならではの静けさ・白色感に追加して暗く陰気なイメージが残っています。 書籍の「ジーン・ワルツ」も気分が滅滅とするような暗さを感じました。 産科医療現場は、実際、滅滅感漂う末期的な状況であることを表現したかったのかもしれません。 手術に失敗した産婦人科医がその一度のせいで逮捕されたり、産科・小児科が世の中からどんどん姿を消し、特に産婦人科病院は出産する妊婦を受け入れられない状況が現実に起こっているのは、私も事実として認識しています。 この作品では、そのことに対する厚労省の施策の甘さ、机上の空論に対する痛烈な批判をしています。 本当に厚労省に原因があるのか、その辺りの現実はよくわかりませんが、問題提起として非常に重い内容であることは十分理解できました。 ただ、主人公の産婦人科医・曽根崎理恵、冷徹な魔女(クール・ウィッチ)と呼ばれる医師には今ひとつ共感が出来ませんでした。 代理母出産に至る経緯や背景が分からず賛同できないし、更に受精卵操作のような非倫理的な内容が入ってくると、せっかくの医療問題提起に水を差してしまうのでは…?と。 出版者のサイト |