社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.081
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2011.12.9 |
「永遠の都」 全7巻 加賀 乙彦 新潮社 |
古本屋でふと手にした初めて読む作家の1冊が、私の感性にぴったりはまりました。 本との嬉しく喜ばしい驚きの出会い。滅多にないことだけど、これがあるから、やっぱり読書はやめられません。 全7巻の超大作、戦前から戦後にかけてのある3世帯を構成する人々の大河小説です。 日露戦争での海軍医上がりの開業医、その妻、看護婦、主婦、不遇の息子たち、昭和一桁生まれの子供たち、企業家、陸軍大尉、セレブ夫人たち、帝大の仏文科学生、戦中のキリスト教信者、天才バイオリニストの少女、他にもたくさん、たったの3家族に選り取り見取りの人物が存在し、それぞれが語り、生きます。 この時代考察をしたければ、本当によく描かれた小説です。 個性的な登場人物ばかりだけど、やはり時田病院の院長、外科医・時田利平はすごい。面白い。 毎朝の日課として、自らの手で自らの体にパイプを通し、胃洗浄と腸洗浄を行います。毎日! それから盲腸の手術も麻酔だけは他の医者に頼んで、自ら執刀してしまうんです。 すごいです、逞しいです。出てくる人物、一人一人が愛すべき人々で、7巻も読み続けれているとまるで自分の身内のよう。7巻の後にも彼らの人生は私の想像の中で繰り広げられます。 誰もが気に入る作品かどうかはわかりませんが、私にとっては間違いなく今年2011年に出会った最高の作品です。 出版者のサイト |