社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.077
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2011.12.9 |
「五郎治殿御始末」 浅田 次郎 新潮社 |
明治時代のはじめ頃、数年前まで武士だった元・侍たちが新時代で生きるために右往左往する姿を描いた6作品の短編集です。 江戸時代と明治時代、生きていない私たち現代人からは時代が突然変わったように思いますが、当時の人々がどんなに混乱した毎日を送っていたか、とても想像がつき面白くもしんみりともする作品でした。 例えば、江戸時代のカレンダーは太陰暦ですが、明治時代は太陽暦。 江戸時代は毎年学者さんが今年は何日と決めていたところが、明治になって1年365日、閏年だけ366日と決まります。 そのせいでカレンダー切替にあたって、明治5年の12月は2日までしかないのです。 商人たちは11月末日の代金回収を終えますが、たった2日後の12月2日も月末日、また代金回収に走り回るという不思議な現象が起きました。 時代が変わっていくことの悲哀を浅田次郎さん独特のユーモアあふれる文体で表しています。 出版者のサイト List No.77 |