社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.068
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2011.10.24 |
「こうばしい日々」 江國 香織/作 新潮文庫 |
薄い文庫本に2作の中編小説が入っています。 ひとつは11歳の男の子がその目線から家族や友人との日常を淡々語る作品「こうばしい日々」。 もう一遍は同じく10代の女の子がその目線から日常と初恋をつづる作品「綿菓子」。 二編は別々の作品でありながら、それぞれを意識できる内容にもなっており、比較も楽しいです。 江國香織さんの文章は感性が鋭すぎて、読んでいる私自身の感情が引き込まれすぎて辛く耐え難くなることがあり、私にとっては手に取るのに少し勇気がいる作家さんであります。 江國さんの文章は「透明」という印象があります。 「透明な文章ってなんだろう」そう思うけれど、透明なんです。 そういうすごい雰囲気を書かれる作家さんなのですね。 「こうばしい日々」の主人公、ダイもみのりも、かわいすぎて切なすぎて抱きしめたくなる子たちです。 江國さんはタイトルもすごいです。 少年ダイが語るこの小説は「こうばしい日々」以外の何物でもありません。 江國さんの小説のタイトルはどれも不思議な魅力を持ちながら、本当にぴったりの完璧な言葉が使われています。 こうばしい日々を味わいたくなったら、是非手に取ってみてください。 出版者のサイト |