社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.064
おすすめ人 | この1冊 | こんな本です |
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2011.9.20 |
「すらすら読める奥の細道」 立松和平 講談社 |
「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり」 みなさんご存じの松尾芭蕉「奥の細道」です。 とても構成がおもしろい本で、上段に大きな字で原文、下段に口語訳、1章ごとに立松和平さんのエッセイが載っています。 原文だけでもそこそこ読めますが、時々不安な箇所で口語訳を読めるのでとてもわかりやすく楽しめました。 立松和平さんのエッセイも面白く、「芭蕉はこう書いているが随行の曽良の日記によると××であったらしい」などという記載もありました。 改めて読んでみて、奥の細道の行程は長いです。 図書館の仕事で足立区に伺うと「奥の細道・芭蕉出発の地」という言葉によく出会いますが、芭蕉はそこから現在の東北自動車道沿いに東へ東へと上ります。(千住→日光→那須→福島→松島→平泉) 今度は岩手から秋田にわたり、今度は日本海沿いを西へと下ります。(秋田→山形→新潟→金沢→福井→大垣(伊勢神宮)) 秋田県の「象潟(さきかた)」という地は、絶景の地で「東の松島 西の象潟」と芭蕉は謳いましたが、芭蕉訪問の百余年後、地震で海底が隆起し歴史的な景勝地は消滅してしまったそうです。 徒歩だけの156日間の旅。 旅の高揚感や寂しさが、原文の行間に読み取られ、感慨深い一冊でした。 出版者のサイト |