社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.055

おすすめ人 この1冊 こんな本です
Tちゃん
2011.9.1


「凪の光景」

佐藤愛子

集英社文庫
No.49の「風の行方」の前作です。
「風の行方」は家族が半ば崩壊した状態から話が始まりましたが、「凪の光景」では家族が壊れていく姿がそれぞれの立場から描かれています。

「風の行方」が小学生の孫を中心に描かれているのに対し、「凪の光景」は60代の祖母・人生のすべてを家族に捧げて生きてきた良妻賢母の精神的反乱が軸になっています。

少し古い作品なので、60代といっても昭和1桁世代の老後の老後の話です。今ならば80代、90代になられるかもしれません。

やはりその世代と比べると女性の地位や生き方は格段に変化していることを実感しました。
それでも現代においても、主婦にとって家族に捧げる時間の何と多いことか・・・。家族からのたった一言の感謝があれば、「凪の光景」の祖母は反乱を起こさなかったに違いありません。

とはいえ、頑固な昭和一桁夫の主張や言い分にも一理あり、夫婦や家族の在り方について考えさせられる作品でした。

集英社文庫

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