社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.234

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2019.5.21


「サヨナライツカ」

辻仁成/著

世界文化社

普段は全くと言っていいほど恋愛小説は読みませんが、
2010年に映画化されることになった時、好きな俳優の一人である西島秀俊が主人公であることを知り、この小説を手に取りました。

誰から見ても好青年の豊は出張先のバンコクで謎の美女沓子と惹かれ合い、むさぼるように激しく求め合っていきます。

しかし、豊には日本に婚約者がいて、人目を憚ることなく浮気しながらも婚約破棄する気はありません。

一方の沓子は別れた夫へのあてつけ目的で豊に近づきながらも、彼を本気で愛してしまいます。

豊は沓子への気持ちを残しながらも、自分の社会的立場や婚約者を選び、沓子と別れ帰国します。

そして、25年の年月を経て再会した二人は…

別れてもずっと豊の心の中には沓子が残っていました。
しかし、独身のまま豊を想い続けて生きてきた沓子の愛は彼よりも大きく、再会の理由はとても切ないものでした。

最初は豊の言動や選択が自分勝手でイラっとする部分もありましたが、彼に葛藤や後悔がなかったわけではありません。
安泰であろう人生を選んだ気持ちも理解できます。

愛し合った時間が短かったからこそ、心に大きく残ったのでしょう。
「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと、愛したことを思い出すヒトとにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す。」
迷いのない沓子の言葉が、彼女の気持ちをすべて表しているように思えました。

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