社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.186

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2014.5.30


猶予の月

神林長平

ハヤカワ文庫
「猶予」と書いて、本来そうとは読めない、「いざよい」と読ませる、発注泣かせのタイトル。
作り込まれた世界観が特徴の神林SFワールド。
その中でも特に大好きな一冊。

姉の理論士イシスと弟の詩人アシリス。
けっして許されぬ恋心を抱く姉弟。
この想いを正当化する為に、イシスは惑星を管理している事象制御装置を使い、とある実験を行う。
この実験空間に犯罪者バールが関わる事から物語は進みだす。
事象制御の実験空間が秀逸な世界観を生み出している。
時間軸を基本とせず、その「事象」が変化する事により「時間」も変化する様に見えるという特殊空間。
「車が走る」という「事象」の場合、車が進む事で時間が進むように見えるという世界。

この世界のポイントは「観測者」にあります。
「事象」を認識する人、すなわち「観測者」がいないと世界が止まっている様に見えます。
本を読んでいると、思わず眉間に皺がよります。

イシス、アシリス、バールが、それぞれ「観測者」として世界へ影響し、さまざまな物語を紡ぎだす。

世界に干渉したバール。それを止める為に実験空間に向かうイシス、イシスを追い空間へ向かうアシリス。 この世界の行方と姉弟の恋の結末は。

お薦めしたい一冊です。


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