社員が選ぶ 最近読んだ1冊 NO.115

おすすめ人 この1冊 こんな本です
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2012.7.17


「サンパウロへのサウダージ」

クロード・レヴィ=ストロース(著)
今福龍太(著)
今福龍太(訳)

みすず書房
中南米を扱う作品によく出てくる単語「サウダージ」。
今まで単語の意味が分からなかったのだが、作品冒頭で説明されていた。
他国語に訳せない単語だそうだ。「ノスタルジー」「郷愁」「憧憬」「思慕」「切なさ」、本著の今福氏は日本語の「あわれ」に近いと書いている。

本書は、フランスの人類学者レヴィ=ストロースが1930年代にブラジルに渡り撮影した写真集とその著作の半編、それから現代日本人の人類学者・今福龍太氏が21世紀になって辿ったレヴィ=ストロースの足跡をまとめた半編、その両者で構成されている。

レヴィ=ストロースは、新興都市であるサンパウロと消滅寸前の先住民の部落を行き来し、その両者の風景をカメラに収めた。
新興都市でありながら、寂しげでノスタルジックなサンパウロの風景がすなわち「サウダージ」に繋がっている。

当時のブラジル・サンパウロの時代背景が分からないまま読んでいるので、今ひとつピンと来ない部分もあった。
しかし舞台は1930年代という、世界中で華やかな文化が花開く一方で戦争の足音がだんだん大きく近づいてくる時代。
このサンパウロを写真で見ることができ、非常に興味深い作品だった。

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